2020年4月、最初に金正恩の健康状態を報じたのはアメリカの大手のテレビ局CNNでした。CNNは『北朝鮮の金正恩氏、手術を受け重篤』と4月21日の午前中に報じています。CNNは心臓血管手術を受け、金正恩が重篤という情報を、米政府が確認している事実を掴み、報じています。

このCNNの報道はすぐに韓国政府やトランプ大統領に否定されます。

『金正恩は4月11日に新型コロナウイルスへの対応を話し合った』との旨が12日に報道されています。それ以降は姿を見せておらず、4月15日の太陽節には、通例の錦繍山太陽宮殿への参拝が行われませんでした。太陽節後、金正恩の動静が伝えられなかったのも異例の事態でした。この頃から健康不安が懸念される報道が出て来ており、21日CNNの重篤説が日本でも大きく報道されました。
4月23日にトランプ大統領は重体に陥ったとのCNNの報道について「CNNによる虚偽報道だと思う。彼らが古い文書を使ったと聞いている」とも述べ、CNNの情報ソースは古いものと述べました。
その後、韓国メディアが金正恩は先週から東部元山(ウォンサン)に滞在しており、「車椅子などを利用せず歩く姿が確認できた」「金党委員長の専用列車が元山にある」などと報じました。金正恩周辺の要人が新型コロナウイルスに感染したため、予防のため平壌を離れたとの見方を伝えています。
再燃した金正恩の健康状態異常説
徐々に、金正恩の重篤説や死亡説が退いていた頃、4月24日に金正恩の健康状態について新たな情報が次々に噴出します。
世界と北東アジア平和 フォーラム理事長で、元国政状況室長の張誠ミン(チャン・ソンミン)は中央日報と電話インタビューで「中国高位関係者から金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長が回復不可能な重態にあるという情報を入手した」と話しています。彼は「中国共産党高位幹部が国際電話をかけてきてこのような内容を伝えた」として「電話をかけた人は中国内高官の中でも北朝鮮問題に関しては第一人者で、北朝鮮を約50回出入りしている人」と話しました(ソース:https://japanese.joins.com/JArticle/265227)。
野党第一党の未来統合党議員で北朝鮮脱北者であるジ・ソンホ氏は「死亡までは確認されていない。しかし、現在彼に統治能力が無いことは知っている」と述べました(ソース:http://www.newspim.com/news/view/20200424000128)。
他にも中国高官の話として「危篤状態に陥った金正恩の健康状況が回復不可能であり、このような状態であれば、事実上死亡状態であると考えなければならない。」「中国の医療スタッフが密かに派遣され、この医師はまだ中国に戻らず、北朝鮮で継続治療活動をしている。」「北の中国医療スタッフと中国現地とは連絡が完全に断絶された状態とする。」「たとえ金正恩が回復不可能な状態に陥ったとしても、北朝鮮の核心部では、これを死亡で見ておらず、回復の可能性に期待を持っている。」といった情報も出てきています(ソース:https://www.ifs.or.kr/bbs/board.php?bo_table=News&wr_id=2819)。
この中国が医療専門家チームを北朝鮮に派遣したというニュースは25日にもロイター通信が報じています。
北朝鮮を担当する中国共産党中央対外連絡部の高官が率いる代表団が23日、北京から平壌に向かった(ソース:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58504590V20C20A4NNE000/)。
24日には、韓国の大手新聞紙『中央日報』が金正恩死亡のニュースを公開してすぐに削除したことも噂を広めました。中央日報は「死亡が確認されたときに公開しようと思っていたニュースを誤って公開した」と述べています。
SNSでは戦争が起こるといった情報が流され、24日中の韓国株式市場でも軍事関連銘柄が10%以上上昇するなど、懸念が高まっていました。
再燃した金正恩の健康状態異常説でも、金正恩が手術を受けたという部分についてはほとんどの情報で一致していました。ただ、良好な健康状態か、重篤な状態にあるのか、植物人間状態なのか、脳死状態なのか、死亡していたかどうかは意見が別れています。
韓国政府は金正恩氏が別荘のある東部の元山に滞在中だとみています。健康に何らかの問題が生じて療養しているとの見方や、新型コロナウイルスが流行する平壌から退避中との観測が出ており、こちらも意見は一致していません。
日本で4月25日に金正恩死亡説が流れた理由
日本では2つのソースが理由です。一つはツイッターで流れた美南新聞(southern news group)が報じた死亡説です。
翻訳こんな感じであってる?てか本当なのか?
北朝鮮の最高指導者である金正恩は冠状動脈バイパス手術の失敗により死亡しました。4月23日死去。36歳。 pic.twitter.com/JKogYJJQw2
— 透明人 (@toumeijindeath) April 24, 2020
こちらはアメリカのヒューストンのチャイナタウンにある中国語新聞であり、政府や各国大手メディアよりもソースの信用性が低いです。
また、日本の週刊誌である週刊現代の記事も内容が具体的だったため拡散しました。
金正恩死亡の記事読んでたら不覚にも笑った pic.twitter.com/alej46KRA5
— ぶし (@bushi0921) April 24, 2020

週刊現代も大手メディアよりは情報網が限られており、信憑性は高くありません。内容が具体的だったからといって信じるのは危険だと思います。
情報が確定するにはもう少し時間がかかりそうです。
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