4月21日の午前中に、CNNが『北朝鮮の金正恩氏、手術を受け重篤』と報じた際は、地政学的リスクから韓国総合株価指数(KOSPI)は約3%、韓国ウォンは約1.7%まで一時的に下落しました。終値はKOSPI、韓国ウォンはいずれも前日比マイナス1%程度に落ち着きました。
金正恩が死亡した時の経済的なインパクトは、金正恩の父親である金正日の死亡が発表された2011年12月19日の動きが参考になると思います。
2011年12月19日月曜日は金正日死亡を受けて韓国総合株価指数(KOSPI)、日経平均株価のいずれも下落しました。KOSPIは一時5%近くまで下げています。逆に韓国ウォンは上昇しました。
前日比%(終値) | 前日比%(最安値) | 前日比%(最高値) | |
ドル/ウォン | +1.52% | +0.04% | +1.89% |
韓国総合株価指数 (KOSPI) |
-3.43% | -4.86% | +0.16% |
日経平均株価 | -1.26% | -1.54% | -0.44% |
2011年12月19日のKOSPI、韓国ウォン、日経平均株価の終値、最安値、最高値の前日比%
2011年に金正日の死亡が発表されたのは週明けの月曜日でした。本日4月27日にも金正恩の健康異常説について、何らかの新しい発表があるかもしれません。ただし、金正日の時とは違い、金正恩の死亡では後継者問題が生じるため、北朝鮮による公式発表はしばらく後になると見込まれています。
金正恩死亡なら韓国総合株価指数(KOSPI)、韓国ウォンは下落
金正恩死亡なら金正日死亡よりも地政学的なリスクは大きくなります。なぜなら金正日の時よりも、急な後継者選びが始まった上に難航が予想されるからです。
金正恩は金正日が亡くなる1年以上も前、2010年9月27日の朝鮮労働党代表者会において、党中央委員に選出され、同日に開かれた党中央委員会総会で党中央軍事委員会副委員長に選出されています。この動きにより、金正日の後継者としての地位が確定したとみなされています。
金正恩は健康状態に不安があったとはいえ、死亡したならあまりにも突然のことであり、後継者選びは難航するでしょう。金正日死亡時とは比較にならないぐらい北朝鮮情勢の悪化リスクがあるため、韓国総合株価指数(KOSPI)は5%以上のマイナスになってもおかしくはありません。
金正日が死亡した時、ドルウォンレートは1.5%程度のウォン高になっています。しかし、金正恩の危篤が伝えられた先週の21日には韓国ウォンが1.7%まで下落しています。昨今の環境を考えると、韓国ウォンも下落する可能性が高いと思います。
金正恩が死亡している場合、発表はいつどこで行われるか?
金正日は2011年12月17日土曜日の午前8時半に亡くなったとされます。金正日死亡の発表は、2011年12月19日月曜日の9時から開始された朝鮮中央テレビの放送でなされました。日本政府や韓国政府も朝鮮中央テレビの放送を受けて、金正日死亡を確認したとされます。
金正日の死亡がわずか2日で発表されたのは、後継者がすでに金正恩と決まっていたからです。金正恩の後は3人(実妹の『金与正』、叔父の『金平一』、兄の『金正哲』)で争われ、誰が後任となるかは決まっていません。北朝鮮内部の混乱を避けるため、死亡の発表はしばらく遅れる可能性が高いです。
また、先日述べたように、金正恩死亡なら発表は北朝鮮ではなく、中国政府が先に行う可能性が高いと思います。

本日4月27日にも金正恩の健康異常説について、何らかの新しい報道があるかもしれません。金正恩の動向は韓国経済だけでなく、日本経済にも影響を及ぼします。しばらく注視が必要になるでしょう。
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