日本では、大量破壊兵器(核兵器、化学・細菌製剤、散布装置)および通常兵器の開発に使われる貨物の輸出や技術提供行為を行う際に、経済産業省へと届出を出す必要があります。この届出を簡素化する優遇措置の取られている国をホワイト国と呼んでいました(ソース:https://www.meti.go.jp/policy/anpo/anpo03.html)。
韓国は2019年8月28日にホワイト国から除外されています。一連のホワイト国から除外する行為を輸出規制と呼ぶ人やメディアは多いです。しかし、正確には優遇措置の撤廃であり、規制ではありません。大量破壊兵器および通常兵器の開発に使われる貨物の輸出や技術提供行為を行う際の手続きが増えるだけです。
韓国政府はこのホワイト国からの除外に反発し、2020年6月2日にはWTO提訴手続き再開すると発表しました。しかし、優遇措置の撤廃を不服とする提訴では、韓国の主張が通るのは難しいでしょう。
日本からの輸出や技術提供で優遇措置を受けれるホワイト国(グループA)一覧
日本では2019年8月2日より『ホワイト国』という名称から『グループA』と呼び方を変更しました。ホワイト国ではない『非ホワイト国』は『グループB、C、D』へと変更されています。
2019年時点でヨーロッパ21カ国(ドイツ、イギリス、フランスなど)、南北アメリカ3カ国(アメリカ、カナダ、アルゼンチン)、オセアニア2カ国(オーストラリア、ニュージーランド)の計26カ国がが指定されています。アジアでは韓国が唯一のホワイト国でした。しかし、韓国が除外されたため、アジアの国でホワイト国はなくなりました。
グループA(輸出管理優遇措置対象国)
ヨーロッパ(21カ国)
- アイルランド
- イギリス
- イタリア
- オーストリア
- オランダ
- ギリシャ
- スイス
- スウェーデン
- スペイン
- チェコ
- デンマーク
- ドイツ
- ノルウェー
- ハンガリー
- フィンランド
- フランス
- ブルガリア
- ベルギー
- ポーランド
- ポルトガル
- ルクセンブルク
北アメリカ(2カ国)
- アメリカ合衆国
- カナダ
南アメリカ(1カ国)
- アルゼンチン
オセアニア(2カ国)
- オーストラリア
- ニュージーランド
ホワイト国除外を不服とするWTO提訴で韓国政府が勝訴する確率
日本の経済産業省は2019年7月1日に、韓国への半導体材料3品目の輸出について、7月4日から契約ごとに審査・許可する方法に切り替えると発表しました。また、2019年8月28日には韓国はホワイト国から除外され、半導体材料3品目に加え、化学・金属、精密機器など規制対象品の輸出に個別許可が必要になりました。
韓国をホワイト国から除外した理由(経済産業省)
輸出管理制度は、国際的な信頼関係を土台として構築されていますが、関係省庁で検討を行った結果、日韓間の信頼関係が著しく損なわれたと言わざるを得ない状況です。こうした中で、大韓民国との信頼関係の下に輸出管理に取り組むことが困難になっていることに加え、大韓民国に関連する輸出管理をめぐり不適切な事案が発生したこともあり、輸出管理を適切に実施する観点から、下記のとおり、厳格な制度の運用を行うこととします。
ソース:https://www.meti.go.jp/press/2019/07/20190701006/20190701006.html
ホワイト国除外で、韓国政府が日本に勝訴する確率はほぼ0%です。なぜなら、韓国が主張する輸出規制にあたらないからです。韓国はアジアで唯一のホワイト国であり、グループAからグループBに格下げになっただけです。これをWTOへの提訴でグループAに戻すのは難しいでしょう。
それでも、韓国国内でのうっぷんを日本へ向けるためにWTO提訴は避けられない措置でした。韓国は提訴ですでに目的を達成したと言えるでしょう。
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