本日2020年5月28日9時から、韓国中央銀行の金融通貨委員会が開かれています。ここで韓国ウォンの基準金利が0.75%から0.5%まで下げられると予想されています。金利が下がれば通貨価値が下がるため、ウォン売り、ウォン安に流れるでしょう。予め予想されていたとは言え、今の価格には織り込まれていないと思います。
過度なウォン売りが生じれば、韓国中央銀行による市場での買い介入も行われるはずです。利下げ後、予想以上の売りに対しては為替介入をします。しかし、ドルの自然流出が続く状態では、為替介入を長期間止めるのは難しいです。外貨準備金を利用し過ぎれば、資金難からのデフォルトを早めてしまうでしょう。
2020年の韓国中央銀行による利下げ
公表日時 | 時間 | 予想 | 結果 |
---|---|---|---|
2020年05月28日 | 10時 | 0.75%→0.50% | 0.75%→0.50% |
2020年04月09日 | 10時 | 0.75%→0.75% | 0.75%→0.75% |
2020年03月16日 | 16時48分 | 1.25%→0.75% | |
2020年02月27日 | 10時 | 1.25%→1.00% | 1.25%→1.25% |
2020年01月17日 | 10時 | 1.25%→1.25% | 1.25%→1.25% |
2020年韓国政策金利決定公表日。3月16日は緊急利下げだったため予想はなし(ソース:http://www.bok.or.kr/portal/main/main.do)。
本日韓国ウォンの基準金利は0.75%から0.5%へ、0.25%下げられると予想されています。もし予定通り利下げが行われれば、2020年3月16日に行われた1.25%から0.75%への緊急利下げに続いて、今年2回目の利下げになります。
2月27日の金融通貨委員会では0.25%の利下げ予想に反して、1.25%を維持しました。しかし、3月はアメリカの利下げが行われた事により、3月16日に1.25%から0.75%へ0.50%の大幅な利下げを緊急で敢行しました。緊急利下げだったため、市場へはかなりネガティブな印象を与えました。ウォンは売られ続けて、3月23日のアメリカとの通貨スワップ協定(ドル流動性スワップ)の発表前まで、1ドル1300ウォン近くにまで迫りました。
本日の0.25%利下げはあくまで事前に予想されている数字です。利下げが行われない可能性もあります。しかし、コロナによる不況で、韓国国内は資金が市場に出回りにくくなっており、利下げはほぼ確実だと思います。さらに、予想に反して0.25%を超える利下げが行われれば、市場により大きなインパクトを与えるでしょう。
予想されてるとはいえ、利下げが今の韓国ウォン価格に織り込まれているかは微妙なところです。恐らく、利下げが行われればウォンは売られると思います。また、本日は中国政府が国家安全法を制定する予定もあります。香港の自治を著しく阻害する法律で、アメリカからは香港を経由する優遇関税措置の停止を含む一連の金融制裁が行われるとされます。韓国ウォンの値動きは、人民元の下落にも影響を受けるでしょう。
韓国中央銀行による為替介入の限界
2020年3月韓国の外貨準備高は、約90億ドルも減少しました。内訳は証券が136億ドル減少、預金が46億ドル増加です。
証券を売ったお金で為替介入をしていたとされます。ただ、差額の約90億ドルのうち、全てが為替介入に使われたわけではありません。なぜなら、3月は証券価格が暴落し、評価額が落ちたからです。しかし、3月はウォン安を防ぐために相当量の介入が行われたと思います。
本日利下げを発表するなら、韓国中央銀行は一定水準を越すような激しい売りに対抗するはずです。外貨準備金から、為替介入に使う予算の確保もすでに行われているでしょう。例えば、1ドル1250ウォンといった基準を設けて、ここを越える売りがあるなら200億ドルを上限に為替介入をするといった対策が組まれています。市場に完全に逆らうことは難しいため、ある程度の下げは許容せざるを得ません。
もともと韓国は国際収支が長期間黒字の国であり、政府の介入無しでも韓国ウォンが買われる流れにあります。

2020年3月は新型コロナウイルスの影響も本格化しておらず、韓国銀行(中央銀行)が5月7日発表した3月国際収支(速報値)はまだ62億3000万ドルの黒字でした。しかし、今は新型コロナウイルスの影響で輸出が減り、輸入額が増えています。4月、5月上旬まで貿易赤字が続いており、6月と7月に発表される国際収支では赤字化の懸念もあります。つまり、今ではドルが流出し、韓国ウォンが売られる流れになっているはずです。
この流れを外貨準備金による韓国中央銀行の為替介入だけで止めるのは難しいです。貿易の完全再開は7月以降になる予定で、それまでの間、ドルの流出、ウォン安圧力は止まないでしょう。
外貨準備金を為替介入に利用すれば、資金難からのデフォルトを早めます。かといって、ウォン安を止めなければ、公私の債務拡大や企業の赤字を招きます。外貨準備金を消費せずにウォン高へ誘導する手段として、利下げ後さらに強い調子で日本との通貨スワップ協定を求めてくるのは間違いありません。
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